詩日記:自転車に乗れたなら
自転車に乗れたなら
どんな気分だろう
自転車に乗れたなら
どんなに気持ちがいいだろう
まだ 自転車に乗れない僕は
そんなことを考える
金髪のあの人は 自転車に乗って 駆けていく
心のままにどこまでも
僕も あんな風になれたらな って考える
彼女は 自転車に乗れなかった時のことなんて
忘れてしまったわ と笑う
僕も 早く
自転車に乗れない僕を 忘れてしまいたい
***
人間というのは当たり前のように、
できないことが、できるようになっていくものでして。
人間というのは不思議なもので、
できるようになると、できなかった時のことを忘れてしまうようです。
これを読んでいるあなたは、自転車に乗れるでしょうか?
もし、乗れるのだとしたら、
自転車に乗れなかった時のことを、覚えているでしょうか。
自転車に乗れないフリをして、
もう一度、自転車に乗る練習ができるでしょうか。
もし、忘れてしまうとしても、
はじめて自転車に乗った子どものように、
「このままどこまでも、走ってゆける」
と、思えるあの感覚を、
もう一度味わいたいものです。