あまりに突然あらわれる彼岸花が不思議だったものですから・・
いつもはそこになかったもの。
この時期になると、といっても、この秋のはじめってことさえ、意識していないけれど、彼岸花が突然そこにあらわれます。その姿が、炎みたいにあまりに赤いものだから、強く印象づけられるんだと思うんです。ずっとそこに居たはずなのに、ずっと気づかれなくて、その反動なのかは知らないけれど、ここぞとばかりに赤を主張します。
あるんだけど、ないように見えているもの。僕たちの意識もそんなものでしょうか。声を上げて自分を主張しない限りは、そこにいるのに、いないものとされてしまう。緑の中に赤がぽっと浮かぶと、人はそこに注目して、はじめて存在を確認する。
彼岸花みたいな存在って、たとえばどんなものがあるかなと考えてみたら、非常に月並みなんですが、花火職人さん。詳しくは知らないのですが、1年を通して日の当たらないところでせっせと花火を仕込み、1年に1度、夏のお祭りで花を咲かせる仕事。
彼岸花っぽい。花と花火がかかっているし。
特に、どこかに着地させようという話でもないのですが、あまりに突然あらわれる彼岸花が不思議だったものですから、こんなことを書いてみました。